
夢使い
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「ん、、、、」 小さな声が聞こえた。 「サイファ、聞こえておるか」 「無事かい?怪我は」 「大丈夫?痛いとか苦しいとか」 「3人同時に喋るな」 サイファは体を起こした。 「何を言っているのかわからない」 「と、すまぬ」 「ごめんなさい」 「戻ってこれたね。よかった」 「そっちも無事か」 「ええ。助けてくれてありがとう」 「そなたには、どれだけ礼をつくしても足りぬな。 見えないけれど互いを優しく包むような想いが 夢の中で一緒にいたのは、誰だったのだろう。 リシュナも知った相手のようだったが 夢使いとして求められた仕事は終わったのだし。 「夢使いとしての仕事をしたまでです。帰ります」 「少し休んでいって。お茶くらいしか出せないけれど」 「休んだほうがいいのはそっちも同じだ。 どこかに強がりがのぞく。 手を伸ばしても触れそうになると引きもどし、繰り返す。 「ここまでで、いいんだろう」 無理に引き止める理由はない。 今はまだ、サイファの心に寄り添うだけだ。 「力を貸してくれてありがとう。 「別に、、、かまわない」 「気が向いたら、ここにも足を向けてね」 「いつでも歓迎するゆえな」 「その気になったら、そうします。これで」 サイファはベットを下りた。 「失礼したします」 寄り添う想いで |
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「そなたが戻って何よりじゃ。やはり、ここにはそなたが居なくてはの」
「アズライル様」
「サイファの言うたとおり無理はするでない。
温かい茶でもいれるか」
「あ、あの、アズライル様」
動いたアズライルを、リシュナは止めた。
「お願いがあるのですけれど」
「何じゃ」
「私が倒れていたという場所に
連れて行ってもらえませんか」
安堵の表情だったアズライルが厳しさを見せた。
「ならぬ」
「同じことにはなりません」
「そなたにそのつもりが無くとも
相手が何をしてくるか、わからぬではないか。
そなたを失いたくはないのじゃ」
「私も同じです。この宮でアズライル様のお力になりたい」
「ならば」
「だからこそ、もう一度向きあいたいんです」
アズライルの傍にいることを望むから、必要だった。
自分にとってのけじめにもなるから。
「行かせてください。私自身のためにも」
「、、、、、わかった」
不安は残る。だがリシュナに後悔を残したくない。
「共に参ろう」
「ありがとうございます」
互いを信じる心を強さに変えて、2人も宮を出た。
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リシュナは声に呼ばれた場所に立った。 少し離れてアズライルがいる。 「私を呼んだ声、あなたね」 風が流れ、影が揺らめいた。 「リシュナ、、、、」 「懐かしいと、思うわ」 「懐かしかった、君の声が。傍にいたくて」 「そうね、忘れることはないでしょう。 決意を持って、リシュナは影を見た。 「私の時間は動いてるもの」 「私を、捨てるというのか」 「捨てるだなんて思ってない。 凪いでいた風が、勢いをつけて流れる。 すぐ耳元でリシュナを呼んだ。 出たアズライルが、リシュナを抱きしめた。 「そなたには渡さぬ」 「精霊王、、、、精霊王がいなければ君は」 この問いにも、リシュナは迷わない。 「その時は、アズライル様を胸の内に住まわせて 「リシュナ、、、、」 「どうして、、、、」 「生きて欲しいから」 「、、、、、、」 「私が先に命を終えたなら、残った人には リシュナは影に向かって手を伸ばした。 「あなたと一緒にいた時間を忘れることはない。 「君は、、、、」 変わること無いリシュナの姿に、昔の記憶が蘇る。 強く、明るい光。 「変わってないね、リシュナ。 「あなたが、そんな私でいさせてくれたのよ」 風がゆっくりと凪いでゆく。 「醒めない夢の中では、本当の君は見られないのか。 「あ、、、、」 「幸せに」 影が淡い光を放つ。 触れた瞬間影は消え去り、白い羽が舞い降りた。 「リシュナ、、、、」 「昔馴染みなんです。 アズライルの傍らを居場所としたい想いは本物。 けれど揺れは残る。 どんな言葉を使おうと、彼の人の想いには応えられない。 「よかったんですよね、、、これで」 「そなたの幸せを願っておった。 共に過ごしていた時間が、鮮やかに浮かぶ。 雫がリシュナの頬を伝った。 「一度だけ、、、、いいですか」 「構わぬよ。何度でもな」 必ず守るとの誓いを胸に |
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