

それから熱もおさまり、3日もすれば動けるようになった。
アリステアは食事を運ぶ以外は姿を見せず、他の人影を見ることもない。
体が落ち着くと暇になり、ローゼスは屋敷の中を探索することにした。
「ここに、、1人なのか、、」
とにかく広い屋敷。
いくつもある部屋には鍵が下りているほうが多かったが、開いている部屋にも人影はなかった。
それどころか生活感がない。
丁寧に手入れはされているものの、使っている形跡がないのだ。
「あれ、、」
歩き回っていると、廊下の向こうを人影がよぎった。ローゼスは追いかける。
角を曲がったところで姿が消えた。
「こっちに、、来たよな」
「何の用だ」
「!?」
いつの間にか背後に来ていた。振り向いたローゼスを捕らえ、きつく抱く。
「いつっ、、離せ!」
「アリステアも何を考えているんだか、、、さっさと抱いて同族にすればいいものを」
「同族、、、?」
「何も聞いていないのか?あいつにその気がないんなら、、、私が抱いてもかまわないな」
「あ、、、、」
相手の細い指が首筋をなぞり上げる。ローゼスが感じたのは恐怖。足元が崩れていくように。
「い、、嫌だ!アリステアっ!」
2人の僅かな間を何かが抜けた。それは短刀。
「手を出すな」
アリステアの通る声が届く。その声に解放されたローゼスは部屋へと駆け戻っていった。
「アリステア、あれをどうするつもりなんだ?本当に何もしないなら私が貰うからな」
そう言うと、すべるようにアリステアの横を抜けた。
ローゼスをどうしたいのか、その答えはアリステアにもわからなかった。
部屋に戻ったローゼスは倒れるようにソファーへと身を投げる。
震えが止まらなかった。
目に入ったキャビネットのボトルを取ると、そのまま口に運ぶ。
「、、ん、、っ、、」
飲めるだけを強引に流し込む。
「どうして、、、」
あの時、無意識でアリステアの名を呼んでいた。
あの男の腕の中で感じた凄まじい恐怖。それをアリステアに感じたことはない。
同族とはどういうことなのだろう?ここを出たほうがいいのだろうか?
「何処に、、行けばいいんだ、、、」
帰りたい場所がない。それがどうしようもなく悲しかった。
唇を噛んだ。落ちる涙は止まらない。
「、、、眠ってしまえ」
「、、アリステア」
目の前にアリステアがいた。ローゼスはアリステアの胸に顔をうずめる。
「う、、、ひく、、、」
「泣きたいなら、、、かまわないよ」
その言葉が鍵だったように、ローゼスは声を上げて泣いた。
いつしか、、泣きつかれて眠るまで。