
それからサリュは、今までの仕事に彫り細工がはじまったことで忙しくなった。
それもで夢に近づいた嬉しさで苦にはならい。
一日の終わりにはアイゼンとその日の出来事をす。そんな日々が暫く続いた頃のこと。
「アイゼン、何のために呼ばれたかはわかっていますね。あなたがしていることは守護の範疇を超えている。
それに気がつかないあなたではないはずです」
「、、、はい」
死者の魂が住まう場所。
アイゼルのしていることが守護の本来の役目から外れていることに
他の守護が気づくのは時間の問題だった。
他の守護が騒ぎ出す前にアイゼンが役目を戻すなら見逃すつもりだったが
それも難しいところまで来てしまったのだ。
アイゼンは、この地を統べる者セラフィスの前で膝を折る。
「このまま続けるつもりなら、サリュのほうに手を出さなければならなくなる」
「お待ち下さい!それだけは」
「全ては己が招いた結果ですよ」
「私自身はどうなろうと構いません。どのような咎でも受けます。
ですがサリュは、今やっと夢にむかって歩き出したばかりなのです。
私自身と引き換えに、サリュだけはどうかお見逃しください。
お願い致します」
地に頭をつけんばかりにアイゼンはひれ伏した。
守護の役目どころか自分のせいでサリュの未来を潰す。
それだけは絶対にしたくなかった。
「サリュを助けたいのですか?それともイザベラ?」
「サリュです。今を生きているサリュを助けたいのです」
「イザベラの身代わりではありませんか?」
改めて問われ、自問自答を繰り返す。
そして、伏していた顔をあげると目の前のセラフィスを見た。
「閣下、それだけは決していたしません」
真っ直ぐ見つめてくる瞳にセラフィスから小さくため息が落ちる。
「、、、二度とサリュの前に姿を見せないと誓えますか」
「はい」
「わかりました。最後に一度だけ許しましょう」
「ありがとうございます」
アイゼンがそう返したときだった。やって来た別の守護がセラフィスの耳元にささやく。
「、、、、、わかりました」
返事を聞くと姿を消した。
「アイゼン、手遅れです」
「、、、閣下?」
「サリュの中でイザベラが目覚めてしまった。本来の役目以上に近づいたあなたに耐え切れなくなって」
「まさか、、、サリュに」
「イザベラの想いが憎しみとなってサリュに向かったと。
その結果は自分で見届けてきなさい」
「御前、失礼します」
「兄さん、、ねえ、起きてよ!」
工房の中で、サリュは崩れた資材の下敷きになっていた。
集まった人の真ん中にサリュとシアがいる。
『サリュ、、、、そんな、、』
「嘘よね?あんなに喜んでたのに、刀が使えるって話してたのに」
工房の責任者らしき男がシアをなだめていた。
サリュは近くの病院へと担ぎ込まれた。