
「お前の処遇について連絡がきた」

「、、それで、どのように?」
「即刻引き渡せといっている。それは断るつもりだが、渡さないのなら翼を返せということだ」
セラフィスの顔に緊張がはしる。
それは背にある翼を引きちぎり、癒えることのない傷と痛みを命ある限り背負うということだ。
「どうする」
「、、、翼を返します。あつかましいとは思いますが、閣下の手でお願いできますか」
「いいだろう。その時はあの魂も立ち会わせるからな」
「それは!?」
「あれに非はないというつもりか?」
「、、いいえ、お心のままに」
「私を恨んでもかまわんよ」
「閣下、、」
数日後、その時がきた。セラフィスが純白の翼をジルファールの前に晒す。
その後ろにイリアーナとリリスがいた。
「よく見ておくのよ。そして忘れないこと。
この光景を覚えておけば、大抵のことは乗り越えられるわ」
リリスはゆっくりと頷いた。
ジルファールの手が翼にかかる。一瞬セラフィスの翼が震えた。
「いいな」
「はい」
一息ついてジルファールは手に力を込めた。そして−
「ぐあっっ!」
断末魔のような悲鳴があがる。
初めて聴くその声に、リリスは身をすくませた。
「くっ、、、」
だが、意識を手放すことはまだ許されない。
「、、グゥッ、、ッ、、ガァアッ!」
思考などすでに止まり、かすかに残った意識の中で
セラフィスは必死で倒れこみそうになる体を支えていた。
その腕はがくがくと震え、抑えた口元からは鮮血が落ちる。
「イリアーナ」
「ここにいてね」
イリアーナがセラフイスの前に回る。
「つかまって。しがみついてもいいから」
喋ることはすでに不可能だった。それだけはすまいと、もてる意識を振り絞って首を横に振る。
「もう、こんな状態で遠慮なんかしないで」
イリアーナはセラフィスを抱き寄せた。セラフィスの身体から力が抜ける。その時
「!!!」
残っていた片翼も引きちぎられた。
大きく身体を仰け反らせ、そのままイリアーナの腕の中に倒れこむ。
「セラフィス!」
意識はすでに飲み込まれていた。