

「あたしがここに居たいの。それでも駄目なの」
「ですから、天界への出立を許された魂が留まることは許されないんです。今ならまだ間に合います。
新しい命を得る機会を、何故自分から放棄するんですか」
冥府へとやってきた魂で名はリリス。天界への出立を許されながらも、セラフィスの傍に居たいと言い続けていた。
「ここに、あなたと居たいから。新しい命を得るより、一緒にいることを選びたいの」
「私はいつまでもここに居るわけではありませんよ。その時がくれば戻らなければなりません」
「じゃあ、あたしも連れて行ってください」
(、、、、また、同じことを繰り返すのか?)
それからしばらくの後、セラフィスはある決心をもってジルファールの前に立った。
「閣下、お願いしたいことがあります」
「どうした、改まって」
「私を冥府の住人にしてください。そして、リリスの魂を留めて頂きたいのです」
「転生を止めると?どういうことだか、わかっていっているんだろうな」
「はい。閣下やイリアーナ様にご迷惑をかけることはわかっております。
ですが、あの時のような後悔だけはしたくありません」
天界において、セラフィスは1人の少女の転生を止めたことがある。
だが許されることではなく、その魂は消滅した。
二度と転生は叶わず、水が乾いて跡形も無くなるように、ただ消えたのだ。
そしてセラフィス自身には何の咎も下りなかった。
「、、、わかった。認めよう。天界は黙ってはいないだろうがな」
「、、申し訳ありません」
「ここの取り決めは私が決めることだ。それに関しては気にするな」
「ありがとうございます」
そして、一通の手紙が届く。同封されていたのは一枚の純白な羽。
それは、差出人が白き羽を統べる最も美しい羽の持ち主であることを意味する。
(やはりきたか)
何を伝えてこようと、セラフィスを引き渡すつもりはなかったが一応は目をとおす。読み終わると軽いため息をおとして手紙を置いた。
(仕方ないといえば、そうだがな、、、)
これを無視すれば、それなりの人物を送り込んで実力行使にでるだろう。裏を返せば、魂を留めることはそれだけの犠牲を伴うものでもあるのだ。
(それなりの代償は払ってもらうか)