白銀の名のもとに


門の外での戦いも、互いに引かない真剣勝負だった。もちろん傷つけるつもりは無いが、手加減はしない。

そんな拮抗を破ったのは、門が発する音だった。2人は動きを止めた。

「イーリス、、、、」

「終わったか」

バチバチと音を立てる門からイーリスとジャステア、青い鳥が出る。

「イーリス!」

ルトヴァーユが駆け寄る。

「ルトヴァーユ様、、、、ぐ」

「ジャステア、状況は」

「勢いの強いものを集中して散らせました。
 破るほどの勢いは残っていないと思います。
 イーリス殿、しっかり」

「とにかく、2人とも手当を」

李凰のもう一つの姿である青い鳥はそのまま飛び去っていった。

「まだ、、、」

イーリスがジャステアを支えにして体勢を立て直す。

唱え始めるが、言霊はすぐに止まった。

「イーリス殿、これ以上は」

止めようとしたジャステアだが
イーリスの頬に伝う涙に言葉を飲み込んだ。

「私を求めた彼らを散らすのだから、、、、、最後まで」

そのイーリスの手をルトヴァーユが取った。

「イーリス、何をすればいいんですか」

「ルトヴァーユ様」

「白銀の責務、、、、いいえ、それは誤魔化しですね。あなたを助けたい。
 だから、出来ることなら私にやらせてください。それにジャステアも休んで。
 本当に、、、、ありがとう。心から感謝します」

「統括様、、、、」

「イーリス、何をすればいい」

「、、、門を壊してください」

イーリスは門を見た。

「門を壊せばこれ以上入ることもない。
 中に残った想いも眠れるでしょう」

「わかりました」

ルトヴァーユの詠唱が始まった。

その向こうに残る想いがイーリスの中で響く。

「みんな、、、、」

ジャステアはイーリスを強く優しく抱きしめた。

何故争わなければならなかったのか。

争いが終わっても爪あとはこうして残るというのに。

答えはないとわかっても、問わずにはいられなかった。

「白銀の命令と権限において、眠りと安らぎを与える。
 どうか、穏やかな眠りとならんことを」

門は最後に淡い光を取り戻し、姿を消した。

闇戯は静かに、イーリスの傍らに添う。

「あなたは彼らを救った。それだけは忘れないでください」

「闇戯、、、、」

「彷徨い続けるよりも、眠りが救いとなることだってある。
 間違ってはいませんよ」

「ありがとう、、、、」

「イーリス殿?イーリス殿!」

イーリスを呼ぶ声にルトヴァーユも戻った。

「ここに関しては以後経過観察だけでいいでしょう。
 気がついたことがあれば、私のほうに報告を回してください」

集まった面々に告げ、ジャステアからイーリスを預かる。

「ジャステア、あなたも手当を。城まで飛べますか」

「私は、、、あの」

ジャアステアは言葉を濁す。

その意味を汲んだ闇戯が先手を取った。

「ジャステアのほうは私が見ます。イーリスのことお願いします」

「、、、、そうですか。わかりました。
 力になれることがあれば、いつでも連絡をください」

「ええ。その時は遠慮なく」

そして、闇戯はジャステアを抱き上げた。

「え?あ、闇戯様!?」

驚くジャステアに向けたのは、包み込むような微笑。

「構いませんよ。楽にして」

「、、、、、はい」

もたれたジャステアは目を閉じた。その様子は幼子が安心して抱かれているよう。

イーリスにとって、自分もそんな相手になれたらと、ふとルトヴァーユは思う。

「あなたたちのおかげで、自分のことが少しわかった気がします。ありがとう」

無言で微笑を返し、闇戯は先に飛び立った。続きルトヴァーユも本城へ向かう。

必ず助けると、その言葉を胸に刻んで。


   BACK  NEXT