
「どうしたの?」
日の暮れた道を急いで帰っていたアストラルは足を止めた。脇道にうずくまっているのは自分とそう変わらない年の子供。
座り込み黙ったまま、それでもアストラルをじっと見ている。
「家はどこ?」
「、、、、、」
「、、、一緒に来る?」
アストラルは手を差し出す。その手を見つめ、ためらいながらも自分の手を重ねた。
「名前は?」
「、、、フランシス」
「終わったな」
「ほんとに兄さんと2人になっちゃったね」
あまり丈夫ではなかった母親がこの世を去ったのは3日前。
葬儀を済ませてから一夜あけ、ようやく慌しさも抜けた。
そして弟のフランシスには、ひとつの不安が浮かぶ。
「兄さん、、」
フランシスはアストラルにもたれる。
「どうした?」
「僕はさ、、ここにいていいの」
「何でだ?」
「今まで当たり前だった、、兄さんは兄さんで、母さんは母さん
父さんは父さん、でも、、僕は本当は、、」
アストラルはフランシスの肩を抱く。
「お前は私の弟、それだけだよ」
「、、、ありがとう」
フランシスはアストラルの実の弟ではない。
まだ幼い頃、人気のないわき道で座り込んでいたフランシスを
アストラルは連れ帰ってきたのだ。
何処の誰なのか何も言わぬまま、アストラルの影で黙り込んでいた。
けれど、アストラルの腕は離さぬままで。
結局フランシスはこの家の一員となり、2人の仲のよさは近所で評判となる。
一方でフランシスの本当の家族のことは何一つわからなかった。
「だけど、本当にここままでいいのか?
お前の本当の家族は、ずっとお前を探しているかもしれない」
「、、、いいよ。僕にとっての家族は兄さんだけだから」
フランシスに本当の家族の記憶はなかった。
覚えているのは夜の道でアストラルに出会ったところから。
それから今まで、この家で本当の家族のように育ってきた。
本当のことが気にならないといえば、それは嘘になる。
それでも、フランシスにとっての家族は自分を育ててくれたこの家の父と母。
そして今、自分を包んでいるアストラルだけだった。
フランシスは知らずに体を寄せる。
「何だ、、そんなに2人だけになることが不安か?」
「そうじゃないけど、、少しこうさせて」
「何かあったら言えよ」
「うん、、、」