キューピッド
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家に戻ると、落とした灯りの中虎丞はソファーにいた。 深呼吸をして距離を縮める。 「虎丞、話があるんだ。いいか」 「僕は、、、、出て行けばいいの? 「虎丞?」 「昼間、一緒に宿に入った人誰?」 「昼間って、、、、お前、いたのか?」 「家に上げたことあるよね? 虎丞が見ているとは思わなかった。 先制を受け、伝えようとした言葉が弾き飛ばされる。 「僕がいないほうがいいなら だが、言いかえれば虎丞も同じなのだ。 キュリオの存在に気が付いた上で何も言わなかったのなら。 「お前はどうなんだ」 「え?」 「知らない誰かが、この家から出ていった。 「それは、、、、絽帆!?ん、、、や」 絽帆は虎丞を押し倒した。 「お前にとって俺は、どこまで許せる存在なんだ。 「何を、、、言ってるの、、、や、やめ」 「憎まれてもいい、、、、俺は」 乱暴に胸元を開ける。 「いっ、、、離してっ!」 「俺の物、、、体も、、心も、、」 「ろ、、、はん、、、あっ、、、」 喉元に唇が落ちた。 露わになった肌に指が乗り、ついと滑り落ちてゆく。 そして 「ひっ、、、い、、いや、、、嫌だっ!絽帆!」 力の限り叫んだ。 「虎丞、、、、?あ、、、」 力が緩んだ。 抜けた虎丞は胸元で服をかき寄せる。 「絽帆、、、、」 「、、、すまない」 「何で、、、、謝るくらいなら、何で」 答えられなかった。何を言おうとも遅い。 「言い訳くらいしてよ!」 「、、、、、」 虎丞は飛び出した。絽帆は追いかけることができない。 「何でこうなる、、、、俺は」 傷つけたくない。想いはそこにあったはずなのに。 「く、、、、、」 己に対しての腹ただしさ。後悔しかない。 爪が食い込むほど、絽帆は強く拳を握りしめていた。 |
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「ん、、、、、」 出店で買った安酒をあおる。 ただ酔いつぶれたい時には、これが一番手っ取り早い。 「どう思った、、、、僕は」 わからなかった。いや、言葉にできなかった。 胸につかえたような何かを。 2人はどんな顔をして会ったいたのだろう。 そして、今と同じように、、、、、。 「何処に行けばいい、、、」 あの家を出たところで行くあてなどない。 また人を襲い、この手を朱に染めて生きるしかないのか。 それとも、いっそ。 「けほっ」 一気に瓶を空にして投げ捨てた。 |
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おぼつかない足取りで歩き続ける。 何処をどう歩いたのかもわからなくなった頃。 「うわ」 曲がり角で正面から誰かにぶつかった。 「いった、、、、」 「ごめんなさい。大丈夫ですか?」 目の前に差し出された手。 相手の顔を見て、虎丞は息をのんだ。 そう、あのキュリオ。 「あなた、、、、」 「怪我とかは」 「、、、、してないよ」 「よかった。すみませんでした、よく見てなくて。 「待って」 歩き出したキュリオを呼びとめた。 歩みを寄せるが、酔いの回った体は小さな段差につまずき 「僕に何か」 「あなた、絽帆の何?」 「え?」 「絽帆と付き合ってるの?あなたのこと、どう思ってるの?」 「絽帆、、、、あ」 「知らないなんて言うつもりじゃないよね?」 「まさか、虎丞さん?」 「あなたには僕のこと話してるんだ。 (話できなかったのかな。それとも、顔を合わせてない?) だが、どちらにしろいい状況ではない。 相当の酒が入っていることはわかるし 「虎丞さん、落ち着いて聞いて。 「いきさつなんかどうでもいい。訊いたことに答えてよ」 歩く人々も声を聞いて目を向ける。 この状況では話にならない。 「場所変えましょう。外でする話でもないから」 「結局、僕が何も知らなかっただけなんだ、、、、」 支えているキュリオの手を払う気にもならず そしてキュリオは、虎丞が熱を持っていることに気づく。 (いけない。早くしないと) 「虎丞さん、こっち。歩いて」 キュリオは、あの時と同じように宿屋に入った。 |
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部屋に入り、虎丞をベットに寝かせた。 「う、、、ん、、、」 すぐに目を閉じ、そのまま夢へと誘われる。 体を冷やさないよう、丁寧に上掛けを乗せて体をさすった。 「虎丞さんにとっても、絽帆さんは大切な人なんですよね」 虎丞に見られていたのは、キュリオも気が付かなかった。 誤解をしてここまで不安定になるのなら (絽帆さん、どうしてるんだろう) 想いの行方を探すように |
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「ん、、、、あれ」 ゆっくりと体を起こす。 「ここ、、、、」 知らない部屋。見慣れない家具。 記憶を辿る。 「あ、、、そうだ。あの人」 虎丞はキュリオを捜した。 しかし、部屋には自分しかいない。 自分だけを残しすでに宿は出たのか。 向かった先は、まさか絽帆のところ。 そうだとしても、もう一度話したい。あの人と。 虎丞はベットをでた。そこにポットとカップを持ったキュリオが入った。 |
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