妙薬
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「いいお天気」 空を見上げ、美海は大きく背伸びをした。 「久しぶりに晴れたわね」 「ええ」 「あ、、、、」 「美海?」 「白竜さん」 美海の指示した方を見れば 白竜も2人に気づき歩みを寄せる。 「こんにちは」 「こんにちは。どうぞ」 美海は弥杜の膝の上に乗った。 「すみません。お邪魔しますね」 「あれからどうですか」 「おかげ様で、だいぶ楽になりました。 「自分に出来ることをしたまでです」 双子はもちろん、迦螺霧も荷が下りるだろう。 これで少しは、返せたかもしれない。 「迦螺霧も安心したでしょう」 そう言う弥杜も、ほっとしたような表情を見せた。 (里を出た後のことは知らないだよな。 迦螺霧と弥杜はどういう知り合いなのだろう。 迦螺霧の最後を知りたいと思うのだろうか。 「迦螺霧さんとは、どういう知り合いなんですか」 「それは、、、、」 あの里では、自分もまた一部の妖しにとって 交換の贄として差し出された者は 距離を置く者もいる中で 「人里と妖しの里の間で、人質の交換が 「人質ですか?」 「交代で送り出し、無事に返せば争いは起こさない。 「初めて聞きました」 「私は人里に送り出された贄の一人。 「どうしてですか。 「無事に帰りさえすればいい。 「、、、、、」 人と妖しの争いはどれほどの涙を生んだのだろう。「もちろん、送り出された地でどう過ごすかは 「言葉1つで、か」 「言葉1つで、傷つけることも救うこともできるわ。 自分の言葉は、迦螺霧にとって救いになるのだろうか。 父と呼べたなら。 「時間は必要でしょうけれど ベンチを立った弥杜は美海を抱きあげた。 「では、私たちはこれで」 「また、ご飯食べに行きますね」 「いつでもお待ちしています。 小さくなる美海と弥杜の後ろ姿に深く頭を下げて |
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「上手く効いてよかったわね」 「どんなに高価な薬も 「弥杜の薬はいつだって重宝されたじゃない。 「薬も手を加えれば毒にだって化ける。 「木イチゴ食べたい。 「いつものお店に寄ってみましょう」 変わらぬ風景の中で 生き交う人々の間を優しい風が流れていった。 |
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