四重奏 〜 カルテット 〜
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工房ローゼンタの昼休み。 「凪は元帥閣下に会ったことある?」 昼食を終えた凪とフィエラは、工房内の一角で一息ついていた。 不意にフィエラから出た問いに、凪は少しの間をおいて答える。 「、、、、、あるわけないだろう」 「普通そうだよね。僕たちのレベルじゃ。 「家の前までなら行ったことはある。入ってはないけどな。 「凪は知ってたんだ。 「フィエラ、何の話なんだ? 「と、ごめん。実は」 通りでカーネリアに助けられた一件から始まり 「貴族階級の夜会ね。招待されてもパスだな」 「ほんとに顔出して挨拶だけで帰ったから。 「たしか瑞樹さん長男だろ?跡取り息子で若く独身とくれば 「褒めてくださってたよ。大切にしてもらえると思う。 「ああ。職人の腕がそのままローゼンタの品質だからな」 2人は気持ちも新たに決意した。と 「失礼する。誰か」 遠くはあったが声がした。 別の職人が対応に出たその相手を見たフィエラは 「あの人、、、、」 「知ってるのか?」 「知ってるも何も、今話した人だよ。馬車の持ち主」 「何、、、」 相手は他ならぬバークレーだった。 フィエラには気がつかない様子で別の場所へ案内されていった。 「ここに何の用があるんだ」 「わからないけど、、、、」 フィエラたちの知らないところで工房が揺れ始めていた。 |
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「ただいま」 「お帰りなさい」 仕事を終え家に戻った凪を変わらない声が迎える。 「遅かったわね。食事は?」 「あ、、悪い。外でフィエラたちと済ませてきたんだ」 「じゃあ、明日の朝に回しましょう」 気にする様子もなく、姉の舞夢はテーブルを片付け始めた。 「お茶、姉さんのもいれておくよ」 「ありがとう」 凪と舞夢はこのキエヌで2人暮らし。 互いに助け合いながら日々を送っている。 ひとしきり片づけを終えた舞夢はテーブルについた。 そして少しばかり神妙になり、こう切り出した。 「あたし、昼間働きにでようと思うの」 「姉さん?」 凪は初耳だった。 「急にどうしたんだ。、、、家、苦しいのか?」 「すぐに逼迫とか、そうじゃないわ。 「それ、無理な言い訳じゃないよな」 「それは大丈夫」 「なら、いいけど」 家事の手伝いはするが、家計に関しては任せ切りだった。 もう少し気にするべきかと、反省の念が浮かぶ。 「困ってるなら言ってくれよ」 「わかってる。その時はちゃんと相談するから」 舞夢は新しくお茶を入れなおす。 「じゃ、先に休むわね。凪もあまり遅くならないようにしなさい」 「ああ」 「お休み」 お茶を持って自室へと引き上げた。 「働くね」 家事全般はそつなくこなすが、外に出て働くとなれば初心者だ。 何が出来るのかと考えてみるが 「、、、、だめだ。浮かばない」 どうしても、外で働く舞夢の姿は想像できなかった。 |
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更に数日後。 「親方、変だよね」 「何かあったのは間違いないな」 仕事の帰り、凪とフィエラは酒場で軽く飲んでいた。 2人の話題は、ここ数日の親方のこと。 「バークレーだったよな。あの男が来てからだろう」 「僕もそう思う。何の用だったんだろう」 バークレーが工房に姿を見せてから 他の職人も様子が違うことに気づいているが 「僕たちのほうから訊いていいことだと思う?」 「、、、、、どうなんだろうな」 親方から話が出るのを待つか、こちらから訊くか。 その判断は難しい。 だが、余り長引けば工房全体が落ち着かなくなる。 そして職人の手作業で作る品は、少なからず影響を受けるだろう。 と、フィエラが思い立ったようにこう提案した。 「瑞樹さんに訊いてみようか」 「瑞樹さん?」 「そう。瑞樹さんなら、商談で親方とはなすでしょう? 「そうだな。その可能性は高いな。店に寄ってみるか」 「何かわかるといいね」 「ああ」 何かを聞いているとしたら、考えられるのは瑞樹。 |
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