

天空に捧ぐ花束
夜。ケイオスは酒場に足を向けた。
「ケイオス、、、、悪い、後頼む」
オーダーにかかろうとしていたソプレーゼは、後を他に任せるとケイオスのテーブルに着いた。
「戻ってこれたのか」
「勝手に殺すな」
「許して、くれるのか?」
「お互い様だろう。こっちも怒鳴って悪かった」
「ボトル、一本おごるよ」
「ああ」
謝ったり謝られたりを繰り返すより
このほうが後に残さずに和解できる。
ソプレーゼはボトルを取りに行こうと席を立った。
そのまま、一点を見つめ動きを止めた。
「どうした?」
「嘘、、、、だろう」
追った視線の先にいたのは、、、、。
「嘘じゃないさ。あの人が紫水だよ」
少し離れたテーブルに一人。
忘れられない面影を宿した姿があった。
「他人の空似っていったって、あれじゃ」
「彼女に会った。
そう思いたくなるのも、わからないじゃないだろう」
「ほんとだな」
「挨拶しとくか。
あの時は、いきなり追いかけて驚かせただろうし」
偶然とはいえ、再会できたのだ。
退院くらい知らせておこうか。
そう考えたとき、誰かを見つけたのか席を立った。
紫水のテーブルに来た客もまた
2人にとっては忘れられない相手だった。
「あれって、あの時の客だよな?」
「金額見る前に金出して、最高級の酒とつまみ出した客。
あのボトル出した客を忘れやしないよ」
席には着かず、立ったまま二言三言を話しテーブルを離れた。
受ける印象は仲の良い恋人同士。
「似合いの2人じゃないか」
「しかし、、、、、驚いた」
「彼女が引き合わせてくれたのかもしれないな」
「ケイオス?」
「お前や彼女が抱えていた想いを伝えるため。
真実を知って歩き出すために、同じ姿の女性と
会わせてくれたのかもしれない」
「きっと、向こうで安心してるよ。
次はどっちが早く次の恋を見つけるかだな」
「おい」
「座ってろ。持ってくる」
ソプレーゼはカウンターに戻った。
「新しい恋、、、、、い、いや、私は」
呟いたケイオスの胸に、暖かい黄色の花束が浮かんでいた。