

Crossing Road
<泡沫>の中央都市、キエヌ。
広場を中心に整備された賑やかな町である。
それは、ある日の港近くの出来事だった。
「、、、、、」
「悪いね。あなたに恨みはないけど
運が悪かったと思って諦めて」
近くに住む絽帆は、知らない誰かに暗がりに引っ張り込まれた。
「何を、、、した」
「動くと余計苦しいよ」
目には見えない何かが、絽帆の身体を締め付けていた。
「う、、、、」
近づいた相手は、整った絽帆の輪郭をなぞる。
「綺麗だね、あなた。
傷つけないよう、楽に眠らせてあげるから」
息の上がってきた絽帆のうなじを指が滑った。その時
「お前をな」
「え、、、うあっ」
一瞬だった。
虎丞は弾き飛ばされ、道に叩きつけられた。
「な、、、、んで」
「ふう、、、、、」
動けないはずの絽帆がゆっくりと立ち上がった。
「ばかな。動けるはず」
絽帆は胸の前で印を結び唱え始めた。
「まさか、、、、やめろ!」
逆に今度は虎丞が締め付けられた。
「う、、、ふぐっ、、、、」
返そうとした。人ならぬ力で。だが出来ない。
絽帆は虎丞の上をいくのだ。
絽帆の言霊は止まったが、虎丞の動きは封じられたまま。
「お前も、、、、、」
「人だ。術師とは呼ばれていたがな」
その言葉に虎丞は目を見開いた。
「術師が何が知っているのか。なら」
「あ、、、やめ、、く、、、」
見えない蔦が食い込む。
「殺せ、、、よ、、、」
「、、、、、、」
「たの、、、む、、、ひと思いに、、死な、、せ、、、!」
「眠れ」
「う、、、、うああっっ!」
絶叫が響いた。
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「ん、、、、んっ、、、」 虎丞はゆっくりと目を開けた。そして視界に入ったのは絽帆。 思わず飛び起きたが、とたん激痛がぬけた。 「、、、、、」 「動くのは無理だろう」 「まさか、、、、術師に当たるなんて」 「妖しに襲われるとはな」 妖し。人とは異なる者。 キエヌから町を隔てた山間に 隣には人が住む里。 隣接した2つの里は争い、攻め落とされたのは妖しの里だった。 虎丞はその妖しの里から逃れた一人。 対する絽帆は人里に住んでいた術師。 術師とは、人でありながら妖しに対抗できる力を持った者をさす。 「あれから里はどうなったの」 「さあ」 「さあって、、、、お前たちが攻め落としたんじゃないか!」 「決めたのは一部の人間だけだ。 「、、、、、」 「人里のほうは治安を悪化させて荒れた。 「つ、、、、」 虎丞は唇を噛んだ。 結果共に荒廃させるなら、何のために争ったのか。 「で、そっちは人を憎んで襲っていた。そんなところか?」 「知った口をきくな」 「状況、わかってるか?」 「やめ、、、、っ、、、」 肩の一点が急に熱を持った。 触れてみると小さな石が埋め込まれている。 「これは、、、?」 「その珠が今のお前を生かしてる。俺が送りこんでいる力で」 「、、、、、、」 「俺か、俺以上の力がないとそいつは取れない」 「生かすも殺すもお前の自由だと」 「力を送っている俺が死ねば、お前も同じことだ。 この命は術師の手に握られたのだ。 気分1つで、握り撫すも絹の紐で締め上げるも自由。 「、、、、術師の隷属か」 「好きなようとれ」 突き放した一言で絽帆は部屋を出た。 「生きた、、、、人を手に掛けてそれでも生きた結果がこれ? 自分を嘲るような、高笑いしかでなかった。 |
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