うさぎ

うさぎは雪の中で丸くなっていました。

お姫様がお城を後にした日
うさぎもまた、お城を出たのです。

もう何日も食べていません。

うさぎは動けなくなっていました。

「どうしたの?お腹がすいたの?」

声に顔を上げたうさぎは驚きました。

お姫様とそっくりな女の子が
自分を見ていたのです。

「こんなに冷たくなって、、、おいで」

女の子はうさぎを連れて帰りました。
「元気になるといいわね」

女の子は優しくうさぎをなでました。

うさぎは、とてもあったかい
気持になりました。

もう少しだけ生きようと思いました。
雪解けが始まる頃。

おだやかな日差しの下で
うさぎは女の子と並んで
日向ぼっこをしていました。

しかし、うさぎは自分で動くことが
できなくなっていました。

「うさぎさん、、、、」

女の子もわかりました。

動けるようにはならない、と。

うさぎは気持ちよさそうに
女の子の隣で目を細めました。
とうとうその日がきました。

「うさぎさん、大好き。忘れないわ」

女の子はお姫様と同じ言葉を
うさぎに伝えました。

うさぎは残った力で
懸命に耳を動かします。

”ありがとう”を伝えたくて。

優しくあたたかい腕の中で
うさぎは静かに眠りにつきました。
          


BACK  NEXT