

未知との遭遇
「いつも綺麗に咲いてる」
平行して同時に存在する2つの世界。その一方には背に翼を宿す者が生きている。
白の双翼イーリスは、美しい花が咲き競う庭園を歩いていた。
「、、、あれは」
同じように庭園を歩く後姿が目に入った。ブロンドがゆるく流れる。
足を止めた相手が見せた横顔は、同じ白の双翼を持つ闇戯だった。
「こちらに来ていたんですか」
「イーリス、、、。こちらで会うのも、懐かしいことですね」
闇戯は、この有翼が住む世界から人が住む側へと居を移していた。
キエヌの町で偶然再会したものの、何処にいるとは聞いていない。
2度目の偶然に、イーリスには微笑が浮かんだ。
「こちらで会えるとは思いませんでした」
「私もたまには足を向けますよ。ところで、、、こんな噂を耳にしましたが」
「噂?何の」
「白銀の統括が、お気に入りの相手に離れを与えて
まあ、、、己のものにした。とね」
「な、、、、お気に入りってどういう意味ですか!?私は」
「けれど、一番近くにいることは確かでしょう。
あなたや統括の考えなどお構い無しに伝わっていく。
それをどう取るかは聞いた当人しだいだけれど
こちらにも噂好きがいるということですよ」
「そんな、、、」
それはイーリスが思いもしないことだった。
自分がどう思われようが気にしないが、ルトヴァーユに非難が向くことは避けたい。
だが、今のイーリスに離れるだけの決心もつかない。
「どうすれば、、、、」
「何もしなくてもいいでしょう」
「え?」
イーリスは不思議そうに闇戯を見返した。
「今逃げたら、噂を真実だと認めるようなもの。
いらない尾ひれがついて、それこそ何を言われるかわかりませんよ。
堂々と変わらずにいるのが最善だと、私は思いますが」
「闇戯、、、、ありがとう」
ルトヴァーユの隣にいてもいい。
イーリスにとって何よりも安心できる言葉だった。
「でも、あなたに対する評価は
統括に対しての風当たりに影響が出ることも確か」
「ええ。今まで以上に注意します。
私のせいで、要らない迷惑はかけたくありません」
「それならば、一つ提案があるのですが」
「提案?」
深い蜜色の瞳が、真剣にイーリスを見つめる。
「あ、、あの、何ですか」
「前髪作らないほうが似合うと思います」
「は?」
「まつげが長いから、影になって表情が暗く見えるんですよ。
それに、いまの色では重たく感じる。
上手く横に流して、髪の色を変えてみませんか?」
「そんな、、、いきない言われても」
「あなたの印象がよくなれば、統括にとってもいいことでしょう」
「理屈はわかるけれど、、、、」
確かに今の立場を考えれば間違いではない。しかし、言うほど簡単なのだろうか。
「そう簡単に出来ることなんですか?」
「キエヌの髪結いに頼めばすぐですよ。向こうで使える通貨もありますし」
イーリスとしてはどちらでもいいのだが、ルトヴァーユのためになることをしたい。
そう思って、イーリスは話に乗ることにした。
「わかりました。お任せします」
「では、さっそく」