

導きの丘(T)
「ぐ、、ガフッ」
「ルディ!?」
「つっ、、、、ぅ」
アントワネットはルディを抱きとめる。
「ふぅ、、」
大きく息を吐き出すとアントワネットにもたれた。
最近ひどく咳き込むようになっていた。治まるまでの時間も長くなってる。
言葉には出さないもののルディの中での不安は大きくなっていく。
アントワネットへの謝罪と、いつまで隣にいられるのか。
「アントワネット、後悔していませんか」
「、、、ルディ」
「私は貴女の手を煩わせてばかり。店だって開けていない日があるでしょう。
すみません。こんなことばかりで」
それを気にするアントワネットではないが、ルディに気にするなと言ったところで
それが無理なこともわかっている。ただ黙ってルディを包んでいた。
「もう落ち着きましたkら、、、ありがとう。店開けてください」
「ルディ、レイスたちのところに顔出してみない」
「どうしたんですか、急に」
「たまには違う風景と、違う風に吹かれるのもいいんじゃないかって思ったの。
気分転換になるかもしれないし」
「でも、、、店は」
「頼まれてた分は終わらせたばかりだし、少しくらい閉めても大丈夫よ。
ルディのほうも受けてた依頼終わったばかりでしょう」
慰めの言葉よりもさりげない気遣いのほうが嬉しかった。
「そうですね、、、会いに行きましょうか」
「じゃあ、明日ね」
「ありがとう。貴女がいてくれてよかった」
「お互い様よ。あたしだってそうだもの。飲むもの持って来るわね」
部屋を出るアントワネットを見送り、ルディは瞳を閉じた。約束の木、あの場所に吹く風を思い浮かべながら。
翌日の昼下がり。
「あれ、、もしかして」
「本当に来たのか」
「行ってくる。ちょっとごめんね、レイス」
ガレリアの膝を枕代わりにしていたレイスが身体を起こすと、ガレリアがぱたぱたと部屋を出た。
ほどなく、ルディとアントワネットを連れてカレリアが戻る。
「こんにちは」
「突然ごめんなさいね」
「来てくれて嬉しいです。ねえ、レイス」
「来たいときにくればいい」
「そう言ってもらえると助かります」
「座ってください。お茶いれてきますね」
再度部屋を出たガレリアは、しばらくしてワゴンを押しながら戻ってきた。
いい香りがゆっくりと部屋に満ちていく。
「ルディさん大丈夫?なんだか細くなったみたい」
「最近治まるのに時間がかかるんです。
アントワネットがここに顔をだしてみたらと言ってくれたんですよ」
「いつも来てもらっているから、たまにはこっちからでもいいかと思って」
「じゃあ、ゆっくり出来るんでしょう。泊まっていってよ」
「あなたたちの邪魔にはなりませんか」
「今更それを気にする相手か」
あけすけな言い方だと、ガレリアは思うが
これはこれでレイスなりの気の使い方だとも思う。
そしてそれは、ルディとアントワネットにも十分伝わるものだった。
「せっかくだから、そうさせてもらいましょうルディ」
「では、、お願いします」
「ルディさん、今少し歩ける?」
唐突にガレリアが言った。
「ええ、平気ですけど」
「あの場所で風に吹かれてみない?きっと気持ちいいよ」
あの場所が約束の木であることは察しがついた。
だが、どうしてこんなことを言い出したのか、その理由には思い当たらない。
「行くのは、、、構いませんが」
「アントワネットさん、いいですか」
「ルディが大丈夫なら」
「少し待ってくださいね。羽織るものだけ取ってきます」
上着だけを取ってくると、ガレリアはルディを連れて約束の木へと向かった。