夢と現の迷路
翼を宿す者が住む世界。
その全てを預かるルトヴァーユが、塔に囚われとなっていた白の双翼を見つけて数日がたった。
塔から出はしたものの、帰る場所も、知った相手も失ったのだから傍で仕えたい。
イーリスはそう申し出てきた。
実際、イーリスの時間は戦の頃から止まったまま。
一人にする気にもなれず、居城の離れの一室を与えている。そんな、ある日。
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「キエヌ、、、、?」 「この有翼と湖を介して繋がっている、人が住む世界。 ルトヴァーユは地図を取ると、隣に座り手元で広げた。 「(え?、、そんな近くだなんて、あの、、)」「この浮島に、門となる湖があります。よかったら足を向けてみなさい。 だが、そんなイーリスの妙な焦りを知ってか知らずか 「キエヌに住む人たちは、私たちのことを知っているのですか?」 「基本的には知らないはずです。けれど、こちら側から居を移した有翼が何人かいますよ。 それに、有翼の命を終え人として目覚めながら 有翼の記憶と人格が表に出ている者。 悪魔と契約して永遠を手にし、後から翼を宿した者など、様々です」 「そんなことが、、、」 「全て、前任のカルサイト様がご存命中のこと」 ルトヴァーユは窓を開けた。風に白糸のような髪が流れる。 「同じ白銀の翼を宿しても、私はあの方には及ばない」 「統括様、、、」 「けれど、白銀は白銀。 立ち上がり、そう呟くルトヴァーユが寂しそうに見えた。 白銀の翼によって手にした、絶対の権力。 だが、それと引き換えのように失ったものが、少しだけわかった気がする。 イーリスはルトヴァーユの前に立った。 「もし、あなた様が白銀ではない翼で私を見つけたら 「、、、、同じことをしますよ。白銀だから助けたわけじゃない」 「でしたら、私も。 「イーリス、、、」 「あなた様が白銀だからあの申し出をしたわけではありません。 決して忘れません。忘れたくないのです」 「ありがとう」 イーリスの言葉に、覚えたのは安心感だった。 それだけこの世界での白銀は重いということかもしれない。 「本城に戻ります。また後で」 「あの、、、」 「何か」 今のところ、ルトヴァーユからは体の回復を待てとしか言われていない。 それがイーリスには物足りなくもあった。 けれど争う必要が無いのなら、取り急ぎ手を貸せることもないのだろう。 「いえ、何でもありません。いってらっしゃいませ」 深く一礼をしたイーリスに、ルトヴァーユも追求はせず離れを出た。 「キエヌ、、、、行ってみようかな」 門の位置を確認して、イーリスはキエヌへ向かった。 |
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