

− ねえ 聞こえているでしょう 私の声が −
− お願い ここに来て 私の声をあの人に届けて −
「誰?」
「リリス、どうしました?、、、、リリス?」
「え、あ、ごめんなさい。何でもない」
「ならばいいんですが、本当に?」
「うん。(気のせいよ、きっと)」
いつからか、リリスには声が聞こえていた。頭の中に直接響く声。リリスを呼び続けてどれくらいがたつのだろう。
気のせいだと言い聞かせてきたが、声はますます語りかけてくる。そのくせ、リリスの問いには答えようとはしなかった。
1人でいても、誰かといても、どこにいようとお構いなしだ。とことこ歩いているとまたやってきた。
− ここに来て あの人に声を届けて −
「いったい誰なの?あたしに何をさせたいの?」
− 声を届けてほしい あの人に セラフィスに −
「セラフィスに、、あなた誰?」
− 来て こっち −
すっと目の前を影が横切る。リリスは慌てて追った。
姿は見えない。ただ声に導かれて。
たどり着いたのは見たことがない場所。目の前には骸骨があった。
「ここは、、」
− 私は声を届けることが出来ない でもあなたならできる −
− 一言でいい 私の声を届けて −
「あなたは誰」
− 私はライラ −
「ライラはセラフィスを知ってるの」
− 知ってる −
「何を伝えたいの」
− セラフィスは私の転生を止めた −
「え、、」
− そう、あなたと同じ でもひとつだけ違うの 私は器を与えれなかった −
− ただ霧が散るように消えただけ 転生も叶わない だから −
ライラの言葉が途切れる。
− あなたも同じ目にあわせてあげる! −
とたん、白い光がリリスを包んだ。そして、、
「リリス、どこにいるんですか」
リリスの姿が見えなくなって、かなりの時間がたっていた。
(あの時にもっと話をきいていくべきだった)
最近のリリスはどこか上の空だった。話をきいているようで、耳には入っていない。
今更ではあるが、後悔が押し寄せてくる。
「リリス、、あ、イリアーナ様」
「どうしたの。あなたが慌てるなんて珍しいわね」
「リリスを見ませんでしたか」
「いいえ、見ていないけど。あ、、」
「何かご存知ですか」
「ちょっと待って」
イリア−ナは目を閉じると意識を集中させた。
「気の流れが変だわ。これは、、」
もう少し探ろうとした時だった。
「イリアーナ!」
ジルファールの声だった。ジルファールが声を荒らげるなど滅多にない。
すっと緊張がはしる。
「おまえ、奥の部屋でなにかしたか」
「あなたに黙ってそんなこと、、まさか」
気の流れの変化に、イリアーナは思い当たった。
「感じてはいたんだな」
「でも、どうして」
「それはこれからだ」
話のみえないセラフィスが耐えきれずに割ってはいる。
「何があったのですか。教えてください。リリスに関係があることなんですか?」
2人は顔を見合わせたまま黙っている。否定されないことが答えでもあった。
「どうか、お願いいたします」
セラフィスは膝をついた。返事はない。ややあって、イリアーナの手がそっと触れる。
「ごめんなさい。まだ何もわからないのよ。リリスが関わっているのか、いるとしてもどういう状況であるのか。
わかったら必ず知らせるわ。だから、もう少し時間をちょうだい、ね」
冷静に考えればそのとうりだった。何かが起こっている、それがわかったののが今なのだから。
「勝手を申しました。申し訳ありません」
「さ、立って」
「もう大丈夫です。出来ることがありましたら仰ってください」
「ええ、必ず」
「イリアーナ」
「ごめんなさい、今行くわ」
ジルファールの後を行こうとしたが、それをジルファールが止めた。
「こっちはいい。セラフィスのほうを手伝ってくれ」
「閣下、私ならもう」
「今のところは1人でいい。手が必要な時は言う」
踵を返し今来た方向へと戻る。
「あなたが心配ならそう言えばいいのに、素直じゃないんだから」
「ありがとうございます」