透明な糸([)


「驚かさないでよ、レイス」

「、、、、悪いことしたか?」

「悪くはないけど」

今が続いて欲しいと願う気持ちはガレリアとて同じ。

そして思う。

今があるのはルディとアントワネットがいてこそなのだと。

「(そうだよ。変わらずにいるために
 昔のルディさんと会わなきゃいけないんだ)」

レイスを買ったというルディの父。

ルディの言葉で聞くことで
今のルディともう一度向き合えばいい。

ガレリアはそう決めた。

「レイスごめん。先に戻っててくれる?」

「、、、、ルディのところか」

「やっぱりこのままじゃ嫌だから。一人でも大丈夫」

「(これで頑固なところもあるからな。
 だが、決着をつける方法は任せるよ)」

ルディとガレリアの間に生じたとまどいなのだから
レイスが間に入ることではない。

できるのは、結果が悪い方向へ変化をしても
自分は変わらずにガレリアを受け止めることだけ。

「お前と共にある今を望む。私はそれだけた」

「僕も。行ってくるね」

「気をつけて」


「羽音?」

不意に聞こえた羽音にルディは窓を見る。

すると、青い鳥が部屋に入ってきた。

何度か旋回し、ルディの肩に止まる。

「迷ったんですか?」

「ピィ」

「、、、何処へでも鳥のように自由気ままになんて人は言うけれど
 鳥は鳥で苦労もありますよね」

「、、、、、ピ」

「水でも飲んで、一息入れていきますか?」

答えるように、ルディの肩を下りるとテーブルに移る。

「少し待ってくださいね」

適当な器に水を入れ前におくと
ルディに向かって一声鳴いてついばみ始めた。

「、、、、、わかっているのかな」

こちらの言葉がわかっているかのように思いながら
鳥を眺めていると呼び鈴が鳴った。

「ピ?」

「いいですよ、ゆっくりで」

一声かけて扉を開ける。いたのはガレリア一人。

「あの、、ルディさん」

「一人ですか?」

「はい」

レイスから昔の話をどう聞いたのか、ルディも気にはなっていた。

だがそれ以上に、ルディには伝えたい言葉が生まれていた。

もしもガレリアが自分とは距離をおきたいと考えているのなら、今が最後かもしれない。

「丘に行きましょう。あの風に吹かれながら」

2人はキエヌを一望できる丘へむかった。


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