

透明な糸(X)
レイスはオルガを連れてロビーへと場を変えた。
オルガが鳥カゴを出てからどれくらいになるのだろう。
そして、再会するとは。
「まさか、フィータを捜してレイスに会うとは思わなかったよ」
「こっちだって昔の鳥に会うとは思わなかったさ。まして、このキエヌで」
「出来すぎた偶然、、だけどな。ま、それはともかくフィータはどこだ」
「ルディの所にいる」
「ルディ?」
「サルバスで会ってるだろう。あのルディだ」
「、、、、、」
「妙な心配するな。私もルディもお前も鳥カゴとは関係ない。
サルバスでのことをフィータも覚えていた。
いくらかでも知っている相手と一緒のほうが安心できると思っただけだ」
「そうか、、、サルバスでルディに拾われてなきゃ
フィータも警察行きだったってことだな。助かったよ。ありがとう」
サルバスで一度会ったきりのルディを
フィータが覚えていたというのは意外だった。
そしてあの一件がこんな形で繋がるなど、考えもしなかったことだ。
結果としてはこれでよかったのだろう。
警察などに連れて行かれたらフィータがもたない。
最悪の事態は避けられたことに、オルガはひとまず胸をなでおろした。
「ルディの家はどこになるんだ」
「中央通りの仕立て屋だ。アントワネット・シェルダンの名前で看板が出ている」
「それって、、、結婚したってことか?」
「ああ」
「(じゃあ、あの子供はルディの子か)」
ルディが連れていた子供、つまり愁馬はルディの子供だと
オルガは間違えたまま納得した。
「、、、、レイス、そっちは」
「私?」
「いい相手が見つかったのかってこと。
そうでもなきゃ、あの鳥カゴを壊す気になったなんて信じられないさ。
ルディの話じゃ、あの男の後に鳥から主になったんだろう」
「鳥としてではなく、人として幸せにしてやりたいと思った。
そういうことだ」
「鳥を、、、愛した?」
「ここまでにさせてもらうぞ。その鳥を待たせているからな」
レイスは話を切り上げて席を立った。
今はガレリアと共にあることが望み。
例え、全ての神に逆らうことになろうとも。
「時間も時間だ。行くんなら明日にしろよ」
「レイス」
「ん?」
「その、、鳥カゴを壊してくれてありがとう。
ルディも、あの男のこと引きずらないで幸せなんだよな」
「ルディの心まではわからない。だが、そうであってほしいと願うよ」
あの鳥カゴの中で苦しかったのは、鳥よりもルディかもしれない。
ルディの親ではなく、鳥カゴの主としてしか生きなかった男。
それでもルディは血脈を受け継いでいる。
ルディにとって、それが己を否定する材料にならないことを、2人は願うのだった。
「それじゃ、また」
「ああ」
「大切な人によろしく」
どこかに懐かしさを覚え、それぞれの場所へと帰っていった。