

透明な糸(]T)
「ん、、、、」
目覚めたオルガに鳥の声が届く。
心地よい目覚めとは言えなかったが、砂を噛んだような苦さが無いだけましといえた。
「朝か、、、、、え?」
視界の隅に入った時計にオルガは動きを止めた。針が指している時刻は朝よりも昼に近い。
「アリエル、、、、」
自分には黙って、商談にフィータを連れて行ったのだろうか。
フィータが一人でいるのなら、この時間まで起きてこない自分を無視はしないと思った。
「まさか、、、嘘だよな、、、アリエル!」
瞬時に浮かんだ最悪の結果を振り払い、オルガは部屋を飛び出した。
バタンと勢いよく開いた扉にフィータは驚いて目を向けた。
が、開けた相手がオルガとわかるといつものように笑顔になった。
「おはよう」
「フィータ、、、よかった」
一気に脱力するが、どうにか踏みとどまってソファーに座った。
「アリエルは」
「お仕事。起きてくるまでは寝かせてやれって言ってた」
「他に何か言ってたか?」
「ううん」
昨夜の話を聞かせたところで、理解はできないだろう。
どのみち審判はアリエルに任せたのだし
そのアリエルから返答がくるまでは、変わらずにいることが役目だ。
「遅くなって悪かったな。一人じゃ退屈だったろう」
「フレデリックにお話すること書いてた」
「、、、どういうことだ?」
「えっと、、、大きな船とか、ふわふわのお菓子とか
こんなのがあったよって、フレデリックにお話すること。
忘れたら大変だから」
「、、、、、」
フレデリックはくまのぬいぐるみ。話しかけても返事は無い。
だが、フィータには聞こえるのだろうか。
もし出て行いくことになったら、この幼子はどうなるのだろう。
「、、、、なあ、もしも、もしもだ。一緒にいるのが俺じゃなくなったら」
「何で?オルガ、一緒にいるって言ったよ」
「、、、、、、、、」
そう、無垢で純粋すぎる。だからこそ、それは狂気とも紙一重。
結局、オルガは何も言えなかった。
そして、フィータがオルガの飲み込んだ言葉を知るよしもない。
「あ、そうだ」
フィータは思い出したように、テーブルから一枚の紙を持ってきた。
「ねえ、これ何のこと」
「ん?」
受け取ったそれはカーニバルの広告だった。
「カーニバルが来てるのか」
「カーニバル?」
「何て言えばいいのかな。手品とか曲芸とか」
「面白いの?」
「、、、説明するより行ったほうが早いな」
実際連れ出せる場所も当たりつくしていた。時間を潰すには丁度いいかもしれない。
「ついでに外で昼飯にするか。すぐに戻るから、出られるようにしておいてくれ」
「うん。わかった」
こうして2人はカーニバルに向かった。
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「ここがカーニバル?」 「みたいだな」 公園をそのまま会場にしており 「楽しそうだね、行こう」 「入り口は、、、向こうか」 案内板に従い少し歩くと、鮮やかな装飾のゲートが見えた。 「私達のカーニバルにようこそ」 「2人分」 「はい。、、、、確かに。ごゆっくりお楽しみください」 そして、すれ違った後姿に座長が呟いた。「どうぞ、、、お2人にもこのカーニバルの魔法がかかりますように」 |
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「わあ、、、、」
先にゲートをくぐったフィータから歓声が上がる。昼過ぎという時間もあって、カーニバルは大盛況だった。
「迷子になったら大変だからって、、、待てフィータ」
「遅いよ〜早く」
「、、、行くから、そこ動くなよ」
やがて2人の姿もざわめきの中に消えた。