花の歌
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「え、お見合い?」 そう父嫌から告げられたのは、秋に差し掛かったある日。 「悪い相手じゃない。どうだ」 ディアナの前に写真が置かれる。 「どういうこと。今までそんな話したことなかったわ。 結婚に早いという年齢ではない。 だが、今まで親にせっつかれたことなどなかった。まして、見合いなど。 「その、先方からの申し出なんだ。お前を迎えたいと」 「どなたからなの」 その名前にディアナは驚きを隠せなかった。 まだ身分制度が残るこの国で、ベリアーチェといえば名の知れた大富豪だ。 対して自家はごく一般レベルの事業家。 と、ディアナは思い出した。 「家には何度かお見えなってたわね。 そして、考え付いた一つの答え。 「まさか、これが仕事と関係してるの?」 「ディアナ、、、、すなまい」 「父さん、、、、、」 「ベリアーチェからの資金援助を断られたらやっていけない。 「、、、、、そういうこと」 名目は見合いでも、これは決定事項。 その事情を聞けば、断れるはずもない。 夫となるのは、年齢からみても現当主の息子になるだろう。 「判ったわ。お受けします」 「ディアナ、、、、、」 「もう決まってるんでしょう。どんな方であれ、断れるわけないものね」 「、、、、、すまない」 好きな異性がいないことは相手に幸なのだろうか。 始まりがどうであれ、ゆっくりでもいいから傍らで添いたいと |
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そして見合い当日。 ディアナは迎えの馬車に乗り、ベリアーチェの屋敷に向かった。 「大きなお屋敷、、、、、」 その財力を示すかのように広大な敷地を有する屋敷。 正面門に入り玄関に着けば、大勢の使用人が一斉に頭を下げる。 「お待ちしておりました。どうぞ」 案内に従い屋敷の中へ。2人が待つ部屋に通された。 「ようこそ」 「いつもお世話になっております。娘のディアナです」 「ディアナと申します」 「ベリアーチェです。こちらが息子のリアド」 「初めまして」 (押し付けられ面倒、、、、そんな感じ) リアドは興味なさそうに、ただいるだけ。 お茶の用意されたテーブルに着くと リアドは席を立つと、窓越しに外を見ている。 「(どうしろっていうの)あの、、、、今日のお話は、御父上が 「お前の家の援助を続ける条件として、娘を迎える。 「、、、、確かに父もそう言っていました。 「お人好しで、何も疑わないのか。父は、お前を見たわけじゃない」 「え、、、、」 「お前の父親が持ってる鉱脈。事業は傾いてるみたいだが 「、、、、、」 「お前を家に迎えておけば、いずれはあそこもベリアーチェのもの。 「そんな、、、、そんな言い方」 「何が違う。お前も私も、所詮は家を守るための道具にすぎない。 返せない。それでも、それだけとは思いたくなかった。 「あなたの言う通りよ。でも、それだけとは思いたくない」 「この話、断るか」 「出来る訳ないでしょう」 見返した瞳は潤んでいた。リアドは腕を引き抱き寄せる。 それでも、リドの表情は変わらない。 「あなたも私も、道具に過ぎない、、、、判ったわ。 淡い願いが消えていく。 「そうさせてもらう。聞き分けのいい女でいろ」 一方的に唇が重なる。 その口づけにディアナが感じたのは、冷たさだけだった。 |
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そう日をおかずに2人は挙式した。 ベリアーチェに嫁ぐとなればそれなりの資産家だと思っていた周囲は この結婚に驚き、また様々な憶測を呼んだ。 その憶測は、少なからず的を得ている。 リアドの言葉通り、ディアナは聞き分けのいい奥方に徹した。 そして季節が変わる頃。 「こんにちは」 「いらっしゃい」 姿を見せたのはリアドの妹リリア。 「変わりない?」 「ええ。姉さんは」 「、、、、、変わりようがないもの。私達は」 「、、、、、」 それなりに時間が過ぎてもリアドは変わらなかった。 そんなリアドに、ディアナも必要なこと以外は自分から話しかけない。 どこか殺伐とした空気が流れる家。 「まったく、、、兄さんもいつまで初恋を追いかけるつもりかしら」 「え、、、、リアドに、あの人には好きな人がいるの?」 「詳しい話は聞かないけど、忘れられない人がいるって。 「そう、、、、」 「でも、せっかく素敵な奥さん来たんだから (私はリアドに望まれたわけじゃないから) 結婚の内情までは知らないのだろう。自分から言うことでもない。 「あ、忘れるところだった。これ皆さんで」 「ありがとう。 「何かあるわけじゃないから、気にしないで。兄さん達忙しいの?」 「2人で家を空けることは多くなった気がする。 「じゃあ、兄さんに仕事渡して引退するつもりかしら」 (そうかもしれない、、、、それが目的なのよね、、、、きっと) 息子の嫁が所有する財産よりも、社長本人の嫁が持つ そのための結婚なのだから。 「だとしたら、仕事が落ち着けば姉さんの方にも目が向くかしらね。 「大丈夫よ」 少しだけ覚えた寂しさを抑えて返した。 |
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