世界樹
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「金が欲しかった。どうしても」 「何のために」 「弟が難しい病気を患ってしまってね。 「その時から、違法だってわかってたの?」 「実際動き始めて、すぐにわかった。 正論を言う事は出来る。 不正を働いて手にした金など けれど、スティールの想いを否定することができようか。 「今、弟さんはどうしてるんですか」 「間に合わなかった。ここに来る前に」 「スティールさんの親は」 「生きてるが、縁を切るって言われてるから 「でも、弟さんを助けたかった気持ちは 「助けられなかった。何もできなかったんだ」 「生きてる。あなたは」 「サージュ、、、、」 力強い声が届く。 「諦めないでください。 「大切な人を失ったのは、サージュも同じだったな」 「少しはわかるつもりです。 甘えたい気持ちを抑えてきた心は レグルスとて、出来ることは精一杯やっているだろうが 「生きるよ、弟の分まで。 「うん、喜んでくれるよ」 「サージュも、さっきの話考えてみてくれ」 「、、、、、」 「かっこいいことを言いたいんじゃない。 ここを出たら何か変わるだろうか。 ここに来る前の生活に戻れはしない。 レグルスや他の大人たちが だがもし何かが変わるのなら。 そして、ここで働くことが 人は何度でもやり直せる。 しかし、その為にきっかけは必要。 スティールとの出会いがきっかけになるのなら。 「少し、時間がほしい」 「そうだな。1日2日で監獄を出るわけじゃない。 最終的にサージュが頷くかはわからない。 けれど、これがサージュにとって 「スティールさん、今夜はここで寝てもいい」 「ああ。もちろん。ベットだって十分な広さだろう」 「ありがとう。用意してくるから待ってて」 嬉しそうな笑顔を見せて、サージュは部屋を出た。 |
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2人でベットに並ぶ。 「スティールさん」 「ん?」 「スティールさんに会えてよかった」 「そうか。私もだ」 「あったかいや、、、お休みなさい」 「お休み」 手を重ね、そっと包む。 親に抱かれ安心した子供のように (本当によくやってくれた。ありがとう) 今夜の夢が優しいそれであるように。 小さな手にある未来が そんな想いをこめて |
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そして釈放の日。 「今日か」 「ああ」 模範囚であったスティールは 「戻ってくるなよ」 「そのつもりだ。 「そろそろ来るだろう。時間は知らせてある」 言葉通り、ほどなくサージュが部屋に入った。 「ごめんなさい。遅くなっちゃった」 「いや、今終わったところだ」 サージュはスティールに向き直る。 「本当に世話になったな。ありがとう」 「いいえ」 「それで、あの話は考えてくれたかい」 「、、、、、」 ここを出たら一緒に暮らしたいという申し出に スティールも催促はせず もし断りの返答ならば 「正直に答えていいよ。無理はさせない」 「僕は、、、、」 答えの出ないサージュに代わりに 「最後を看取るだけの覚悟があるか」 「何、、、、」 意味を飲み込むのに数十秒。 スティールは信じられずにサージュを見つめた。 |
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