世界樹
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「僕、戦争孤児なんです。だから」 「だったら尚更、国の責任で保護なりすべきだろう」 「初めは施設に入る予定でした。 「戦争を正当化する理由なんてない。 「早く終わってくれればいい」 「囚人でなければ、何処にでも連れていくけどな。 鎖の鈍い音が鳴る。 「住まいはどこなんだ」 「近くにある職員用の宿舎です。 「、、、、、」 強がっているようには見えないが 「我儘になれる時はそうしろよ」 「スティールさん」 「私が言っても、説得力はないかもしれないけどな」 「そんなことないです。ありがとう」 サージュは体を寄せた。 レグルスとはまた違う優しさに包まれる。 スティールも何かを守ろうとして ならば、いつも通りに真摯に向き合うことが役目だ。 「囚人でも、規律上認められていることは 「私は罪を犯した。罰を受けるためにここいる。 「スティールさん」 「だけど、君が私の担当ならそれは無いだろうな。 「はい」 心を通わせる一本の糸が、2人の間に生まれた。 |
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「引っ掛かったら言ってください」 「ああ」 長い髪にブラシをいれる。 食事や身の回りの世話を、サージュは丁寧に行った。 「体の方は?痛むとか傷ができてるとか」 「変わったことはないよ。常識ある扱いをしてもらってるし 「僕は当たり前のことをしてるだけです」 無理なく微笑みが浮かぶ。 「レグルスさんには会ったんですか」 「いや、まだだ。 「見回ってるとは聞くけど 再度束ねた髪を、丁寧に整えた。 「終わりましたよ」 「ありがとう」 サージュは隣に座る。 一通り終わった後も、ここにいる時間が増えた。 レグルスの配慮で学習の時間はあるが 「大丈夫なのか?終わった後もここにいて」 「レグルスさんには話してあります。 「いつまでこの仕事を?」 「わかりません。 「、、、、、」 間に合うのなら、ここを出る時引きとれないか。 ふとそんな考えがよぎる。 しかし、その資格があるのか迷いもあった。 犯罪者である自分の手元に置くことで ならばいっそ、突き放したほうがサージュのためか。 「サージュ、所長が深く関わるなと言ったら 「スティールさん?」 「周囲の目もあるんだろう。話を聞いてる限りは 「、、、、、どうしてですか」 「サージュのためだから」 「いえ、そうじゃなくて」 「サージュ?」 「そんなふうに僕のこと心配してくれるあなたが 「それは、、、」 言いかけたところに足音が聞こえた。 姿を見せたのはレグルスだった。 「レグルスさん、あ」 サージュは慌てて立ち上がった。「サージュ?」 「先生が早く来るって言ってたんだ」 勉強を見ている教師が早く来るということを 「待たせないようにな」 「うん。また来ますね」 出ていく後ろ姿を追い 「どうして、、、、か」 確かに罪を犯した。 けれど、あの時点では他に方法がなかったのも事実。 「お前は、、、、どう思ってる?」 答えの返らない問いを、一人呟いた。 |
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更に数日後。 「サージュ、スティールのことで少し話がある」 「、、、、はい」 「頭ごなしに怒るつもりじゃない。 「いけないことだって、わかってます。でも」 察しはついていた。 けれど、サージュは離れられずにいた。 レグルスは、問い詰めるではなく優しくサージュを見る。 「彼は、今まで付いてきた囚人と何か違うのかい」 「、、、、、」 考えてみる。違うというなら最初の言葉だろう。 「今まで驚かれることはあったけど 「何に対してだ」 「何を考えてるんだ、ここの連中は。 「、、、、そうか」 言われれば返せない。 スティールの反応が、ごく自然だろう。 「今まで寂しい思いをさせてたなら 「そんな、レグルスさんのせいじゃありません」 確かに、上に話したところで何度も蹴られた。 しかし、諦めていい問題ではない。 サージュの心が悲鳴をあげてからでは遅いのだ。 「強く上に掛け合ってみる。ここで働くにしても 「レグルスさん」 「何が最善か、一緒に考えていこう」 「ありがとう」 立場は真逆ともいえる、レグルスとスティール。 同じように自分を心配してくれる2人に |
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