
闇夜の遊戯
闇夜に白の双翼が下り立った。
「人の気配は無しか。どうして争ったんだろうね。手に入れるつもりがないなら、ほっとけばいいものを」
そう呟いたのは白の双翼{闇戯}。争いの時代を生き抜いたうちの、数少ない一人でもあった。
白の側に居を構えてはいるものの、ひとところに落ち着くことは無く、有翼側とキエヌ側を気まま行き交っている。
その闇戯が下りたのは、中央都市キエヌから町を二つ隔てた隠れ里。
鬼を長とした”人ならざる者”が住んでいた地だった。
だが今は、その名残で在る館がひっそりと佇むだけだけ。里を包むのは静寂のみ。
「まだ使えそうだな」
闇戯は損傷の少ない館を間借りすることにした。
とはいえ、断る相手がいるわけでもないから
上がりこんで居つくというほうが正解かもしれない。
それからの闇戯は有翼側に関心を向けることも無く
この館から気まぐれに人の世界を飛び回っていた。
それから暫く後、闇戯は珍しいものを見つけた。それは教会を囲む結界。
中央都市キエヌの教会が結界で囲まれたのだ。
人として生きている住人には気づかれないし、影響も無い。
だが闇戯は気づいた。そして、張った相手も、思い浮かんだ名の持ち主で間違いないだろう。
「そういうえば、神父が交代したんでしたね。
では、、、その新しい神父が有翼と関係あるのかな。
でなければ、こんな結界を張る必要もないと思うけれど」
それから闇戯は、気配を殺して新しい神父の沙夜を探ってみた。
続けていくうちにわかったこと。
それは、この沙夜が有翼での生を終えて、キエヌで人として目覚めた命であり
有翼の頃の記憶と人格が、表に出ている状態で”キエヌの人”として生きている事実だった。
「、、、、この状態で”人”として生きるなんて。ふふ、、、面白い。
久しぶりに興味をもつ相手に出会ったようですね」
木々の間から差し込む月光が館を飾る。
月の影を酒に映して、闇戯は杯をかたむけた。