とある日常

悠夜 「お茶が入りました。一息お入れになって−」

薫衣 「と、待ってくれ」

銀月 「勝負に待った無しだ。
     それに、挑んできたのはお前だろう」

薫衣 「、、、、わかった、この一戦は私の負けだ。
     では、もう一勝負といこう」

銀月 「私はかまわないが、、、、
     連敗記録を更新するだけになっても知らんぞ」

薫衣 「その記録を止めるために来たのだ。
     更新にはなるまい」

銀月 「、、、、、、(勝つまでやる気か?)」

悠夜 「あの、、、何か違う気が、、、(銀月にひそり)
     一度負けてしまったらどうですか」

銀月 「(悠夜にひそり)
     、、、、負けの決まった勝負などつまらん」

悠夜 「(くす)お二人とも負けず嫌いなのだから」


    更に時間が経過、、、

薫衣 「、、、、何故だ」

銀月 「今日は諦めろ。相手にならん」

薫衣 「なんだと」

銀月 「いつもなら、お前の手の内がみえることはない。
     だが、今日はお前の手が読めるし
     読みも外れない。これで勝てると思うのか?」

薫衣 「、、、、手が読めるだと」

銀月 「、、、、何があったのかまでは知らないが
     疲れているのなら、頭を使う勝負などせずに
     おとなしく静かにしてればいいだろう」

悠夜 「そうですよ。
     考えるのに疲れたときの気晴らしに
     チェスの勝負は向かないと思います」

銀月 「勝敗の決まった勝負ほど
     つまらないものはないからな。
     わかったら、大人しく休んでいろ」

薫衣 「、、、、、、、、疲れていたのか」

銀月 「(自覚がないとなると、よほどだな)」


薫衣 「自分のことは、気がつかないものだな」

銀月 「昔からそうだったのか?」

薫衣 「、、、どんなに多忙になっても
    倒れることはできない。
    それが、自分のいる立場だと思っていた。
    だがようやく、それが驕りだと気がついたんだ」

悠夜 「そう思うようになったのは、何故なんですか?」

薫衣 「重要なのは
     私のいた立場を空席にしないということ。
     いるのは私である必要はない。
     私が倒れたら、次の誰かか後任に決まるだけ」

銀月 「、、、、だからといって
    本当に誰でもいいわけではないだろう」

薫衣 「私はそれなりに役目を務めた自負もある。
     だが、仮に実行力のない飾りのような者が
     私のいた立場に就任したとしても
     回りの者が取り仕切り役になるだけだ」

銀月&
悠夜 「、、、、、、、」

薫衣 「気づいたところで、もう今更ではあるがな。
     では、今日はここまでにしよう。
     次は勝ちにくるぞ。、、、、ありがとう(去)」


    見送った後

悠夜 「気づいていたのなら
     早く切り上げてあげればいいのに」

銀月 「プライドもあるだろうし、早く切り上げすぎても
     諦めないだろうからな」

悠夜 「(らしいといえば、らしいけど)
     お茶冷めてしまいましたね。入れなおしてきます」

    一人でお茶をいれつつ

悠夜 「立場や肩書きなど、個人を作る一つの要素。
     ただそれだけです。
     あなた自身を見てくれる人がきっといますよ。
     少なくともここにいる皆は、立場や肩書きなどに
     さほど意味がないことを知っている。
     素晴らしい仲間です。
     きっと、あなたも
     あなた自身を必要としてくれる誰かと会えるから」

     戻ってくる

悠夜 「お待たせしました。どうぞ」

銀月 「、、、ここにいれば、そのうち楽になるだろう」

悠夜 「ええ、、、きっと」

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