ジルファールの持ってきた知らせに、カルラをはじめとする評議会は大騒ぎとなっていた。

冥府をでた魂が舞い戻るなど前例のないことであり

消滅させたと思っていた面目もあって、その処遇の決定には時間を要した。

結果、ジルファールは天界に足止めをくらうことになったのである。

そしてようやく結論がでた。

「待たせて悪かったな」

「あの連中のことだ。対面を保つのに必死だったんだろう」

「相変わらず手厳しいな。まあ、今回はこちらの手落ちだ。
 迷惑をかけてすまない」

「終わったことはいい。それでどうするんだ」

「、、やりきれないよ、まったく」

カルラは吐き捨てるように言った。

「出した選択肢は2つ。転生するか、今度こそ完全に消滅させるかだ」

「、、、気にくわんな」

考えたのは自分たちの体面だけなのだろう。

当事者たちへの考慮など期待するつもりはなかったがあまりにも勝手に思えた。

おそらくはカルラも。

「お前に一任させたかったが、それだけは認めないと引かなかった。
 こんなことなら評議会に回すんじゃなかったよ」

カルラは一本の短剣を差し出した。

「消滅させるならこの剣で。もしどちらも拒否するのなら、その時はお前に任せる」

ジルファールは短剣を収めた。

「無理やり消滅はさせたくない。
 お前のやり方で傷が最小限におさえられるなら
 初めからそうしてくれ。頼む、このとうりだ」

自分に向かって頭を下げたカルラの胸を
ジルファールは軽く叩いた。

「やめておけ。こんなところを見たら何を言ってくるかわからんからな。
 もし結果に不満がでたら、私の独断だと言えばいい」

「最後の最後まですまないな。セラフィスのこと、よろしく頼むよ」

「、、私もそう遠くはない」

ふいにでた言葉に、カルラは顔を上げた。

「終焉の兆しがあるのか?」

「いや、何となく思っただけだ」

「馬鹿なことを考えるな。兆しがなくて、いきなり終焉を迎えるわけないだろう」

「いつ何が起こるかなど誰にもわからんよ。今回のことだってな。
 片がついたら知らせる」

部屋を後にするジルファールを見送りながら、カルラはリリスを思い出していた。

そして、ライラ。ライラを無に還した時のセラフィス。統治者としての自分。

「私は何もできなかったな。ジルファール、お前を羨ましく思う時があるよ」

出て行ったジルファールの背中に、知らずのうちに呟いていた。



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