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翌朝。アントワネットを見送り、屋敷にはレイスとガレリアだけが残った。

ソファーに横になったレイスの足元にちょこんと座り、ガレリアは胸元に顔を寄せる。

聞こえてくる鼓動に安心していた。

「どうした」

「ほんとに、、レイスだよね。もう、何処にも行かないで」

「先の約束はしたくない」

「レイス?」

顔を上げ、不安そうにレイスを見つめる。

唯一の存在を手に入れることは、喜びと失う恐怖の背中合わせ。

「いて、、くれるんでしょう?ねえ、何でもするから
 絶対逆らったりしないから」

「言葉が悪かったか」

レイスは起き上がるとガレリアを引き寄せた。

「未来は賭けだ。先のことはわからない。
 お前のことだから、軽い気持ちで口約束はしたくない」

「言葉だけでもいい、だから!」

ガレリアの瞼に口付けが落とされる。

「未来の約束じゃなくて今を、今目の前にいるお前を愛しているよ。
 誰よりも大切で守りたい。傍にお前がいる今を嬉しく思う」

「レイス、、、」

「これじゃ駄目か?どうすれば安心させることが出来る?」

「ごめんなさい。僕の我侭なんだ、、でも」

レイスが優しくガレリアの髪をなでる。

「レイスのこと信じてないわけじゃない。ほんとだよ」

向けてくる眼差しはどこまでも真っ直ぐで。

「でも、、怖いんだ。レイスを失うことが。
 レイスのためならなんだってする。何だって出来る。
 他に欲しいものなんてない。
 レイスを繋ぎとめておくにはどうしたらいいの?
 レイスがいなくなるくらいなら、死んだほうがましだもの。
 一人でなんて生きていたくない。
 レイスに何かあったら、僕も死んでいい?」

純粋すぎるほどの想いをそのまま言葉にできるガレリアを
レイスはふと羨ましく思うときがある。

向けられている相手が自分だということに、いささかとまどいながら。

ましてガレリアは売られてきた鳥。

憎まれこそすれ、愛されるなど思ってもいなかった。

そんなことを考えていたレイスだったが
黙ったままのレイスにガレリアはますます不安を募らせる。

「レイスになら殺されたっていい。
 どんな結末でも、最後にレイスの腕の中にいれば幸せだから。
 だからお願い。僕を残して何処かに行ってしまわないで」

「私だって同じだよ。
 お前が笑っていられるなら、どんなことでもしてやりたいさ」

「レイス、、、」

「だから私のために死ぬなんて考えないでくれ。
 お前が笑って、傍にいてくれるだけでいい。
 命尽きる時も共にいることを願おう」

「ありがとう」

不確かな未来。

それを信じるために、今目の前にいる愛しい相手を全てを懸けて愛すると。

同じ思いが2人の中に生まれていた。



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