

翌日の夕方。
「、、、どうなさったんですか」
フィリオス、ネリエ、ラスデルの3人揃った訪問に、ルナティエはただ驚いた。
「会えるかな」
「かまわない」
戸惑ったルナティエの背後から声がかかる。ルナティエは道をあけた。
フィリオス、ネリエと続き、最後に入ったラスデルの腕をがしと掴む。
「ラスデル殿、何があったんですか」
「訊きたいのはこっちだ。今朝になってここに行くと仰って」
「それで、私は何をすればいい」
「え!?」
ヴァリヌスの言葉にルナティエとラスデルが揃って返す。
ネリエも驚いてヴァリヌスを見ていた。
「くっ、、ふ、はは、、何て顔してるんだ」
楽しげに笑った。
「兄上、手伝っていただけますか」
「いい顔になったな」
「、、、??」
「昨日の夜、あいつが言っていた。お前の心が決まったと。
本気になったんなら、手を貸そう」
「ありがとうございます」
「ようございました」
ルナティエが安心したように呟いた。ラスデルもまた、ひとつの決心がついた。
「陛下のお心が決まったのならば、私もまたヴァリヌス殿に同じようにお使えいたします。
どうぞ、何なりとお申しつけください」
「そうさせてもらおう」
「はい」
「それでは、先ほどの続きなのですがロイと名乗る者は人々の負の感情を煽っています。
精霊たちも落ち着かない。街の小競り合いも、双方の不安定が原因でしょう。
私は、感じることは出来ても何処からかはわかりません。
兄上には、その場所を探してほしいのです」
「こっちから乗り込むつもりか?」
「抑えるだけではいつまでも終わらない。説得できればいいのですが、、」
だが言いつつも、不可能に近いとは思っていた。精霊石に向けられた、あのむき出しの敵意を思えば。
最悪は、この手にかけなければならない。
「まだ出来ないと決まったわけじゃない。ロイについてわかったことは」
「それは何も。王宮に残っている記録を調べてはいますが、名前はでてきません」
「そうか、、、少しでもわかってからのほうがやり易いけどな」
どこまで待つかは難しい判断だった。
「お兄様、ロイっていう人はどんな人なの」
「ネリエには話していなかったか。見掛けは、、私たちと同じくらいの年だな。
この国では見ない、ブロンドにグリーンの瞳だった」
フィリオスの言葉にネリエは思い浮かべてみる。
「ブロンドにグリーン、、、あ」
一斉にネリエに視線が集まる。
「知っているのかネリエ」
「ちょっと待ってフィリオス兄様。何処かで、、、そうだわ、月の女神の神殿」
「まさか、、ここなのですか?」
ルナティエは考えを巡らせる。手がかりになるようなものがあっただろうか。
「ここじゃないわ。王宮に一番近い神殿よ」
「あの神殿の何処に」
無論、フィリオスも出入りする場所だ。だが、思い当たることはなかった。
「昼だとわからないの。夜の月の光じゃないと」
そこまで言って言葉を止める。ラスデルをちらりと見れば、大きなため息を落としていた。
「ネリエ様、またお一人で部屋を抜け出されたのですか、、、
何度もお願いしているはずです。お一人で、出ないでくださいと。
万が一のことがあったらどうなさるおつもりですか?もう少しお考えに−」
「あまり言うな。手がかりが見つかるかもしれない」
助け舟をだしたのはヴァリヌスだった。ネリネが嬉しそうに笑う。
「ネリエ、あまりラスデルを困らせるなよ。お前が心配なだけだ」
「、、、ごめんなさい」
「では、今夜神殿で。よろしいですか兄上」
「わかった」
3人を送り出し、中へと戻る。だがルナティエは部屋の前で足を止める。
「ヴァリヌス様、祭壇のほうにおりますので何かありましたら声をかけてください」
「どうした?」
「私も、私の出来ることをしたのです」
「無理するなよ」
「はい」
ルナティエは祭壇へと向かった。