

カゴの鳥
チャリ 鍵の回る音がした。その音にピクリと身をすくませる。
「おとなしくしていたようだな」
床に座り込んだままガレリアは動こうとしなかった。
そんなガレリアに何を思うわけでもなく、入ってきたレイスは前に立つ。
「お願い、、逃げようなんて思わない、、だから、、」
首と両手首にはめられた枷。それをつなぐ鎖が鈍い音をたてる。
薄絹のからほんのりと透けて見える肌はどこまでも白い。
「さて、、どうだかな」
くいと鎖を引き、折れそうな身体を抱く。
「や、、んっ、」
唇を塞がれ、舌が割って入り絡んだ。
くぐもった声が漏れそれだけで身体は熱を持ち始める。
力の抜けたガレリアの身体を抱き上げ、ソファに横たえる。
己を重ねる。
首筋から胸元に落とされる口付け。
身体を滑る細い指。だがそこまでを与えられ、ガレリアは放り出された。
そしてレイスはそのまま部屋を出て行く。
ガレリアは動けなかった。
所詮はカゴの鳥。ここに来たときからそれはわかっているつもりだった。
この屋敷で唯一接しているレイスは感情をみせず
ただ商品を大事に扱うだけ。
(そうだよね、、あの人にとって僕は商品の一つで、、
それ以外のことなんてない、、)
のろのろと起き上がり部屋を見渡す。鏡の中に自分を見つけた。
近づいてその輪郭をなぞる。
「心なんて、なければいいのに、、」
持てる力で鏡の中の自分を殴りつける。
砕けたカケラはその手に赤い筋を作っていた。
「今回もいい人材を手に入れたようですね」
「ああ」
この屋敷に売られてくるのは没落貴族の忘れ形見か
身内を売ってでも外面だけは豪奢な生活を続けたいという輩。
男娼に育て上げ、またこの屋敷から売られてゆく。
裏ではそんなことがまかり通る世の中だった。
「いつ頃売りにだすんですか」
「あれは手放すつもりはない」
おや、と無表情のままのレイスを見る。
「これは、、本気になりましたか」
「、、、」
「まあ、私が口を挟むことではありませんけど」
そう言って外套とステッキを持ったのは、法の抜け道を知り尽くした仕事仲間のルディ。
「深追いは身を滅ぼすもとですよ。ビジネスと割り切るからこんなことができるのですから。
私はあなたと心中するつもりはありませんから、そのおつもりで」
「わかっている」
では、と会釈をすると足早に出て行った。
レイスは新しいボトルを取るとガレリアの部屋へと向かう。