辻占い


久しぶりに足を向けた街キエヌ。

相変わらず賑やかな街だ。

広場では多くの人が、穏やかな午後のひと時を楽しんでいる。

涙も笑顔も、全てを知っているこの街は私を優しく包んでくれた。

広場から続く大通り。

少し速度を落として歩いていると

「お兄さん」

「ん?」

すぐ近くで声がした。足を止めると

「そう、そこのあなた」

再び呼ばれた。

声の主は椅子に座り、カードを広げている。

「やはり、難が見えますよ」

「、、、、」

「それも、1つではなさそう」

「占いは、あまり信用しないのでね」

「信じるかどうかは自由。でも、確かに読める」

まだ若い、端正な男だった。

「読みが外れるよう、願いましょう」

「、、、代金はいるのか?」

「道行く人を占っていただけ。
 そしたら、あなたが横切った時にこの結果が出たので
 お知らせしたまでです。頂くつもりはありません。
 どうそ、お気をつけて」

「覚えておこう」

私は歩き出した。


全面的に信用はしないが
気にならなくもない。

占い通りなら、何が起こるのだろう。

そう思い歩いていると

「いっ、、、、」

背後から頭に何か当たった。

「何、、、、」

「ごめんなさい」

振り向くと子供が駆け寄ってきた。

足元には小さな靴。

そういえば<明日天気にな〜れ>と聞こえたような。

「ごめんなさい」

「人に当たらないよう、ちゃんと周りを見るんだよ」

「はい」

靴をはかせ、子供の背中を見送った。

これで占いは当たったことになるのだろうか。

この程度なら喜ぶべきなのだろう。

再び歩みを進める。


せっかくキエヌを歩いているのだし
何か買って帰ろうか。

キエヌからあの場所に移った他の住人も懐かしいだろう。

この辺り、有名な店があったよな。確か、、、

「どいてくれ!」

ばたばたと駆ける足音。

背後から迫る数人を避けようとした時
不意に足元が滑り、見事に足を取られた。

「大丈夫ですか」

「ええ、、、まあ」

差し出された手を借りて立ち上がる。

「何があったんですか」

「窃盗犯です。まったく、懲りない。
 と、すみません。怪我が無ければこれで」

「大丈夫です。どうぞ」

相手は急いで後を追い、姿が消えた。

取られた足元を見れば、何かの皮のような物。

「これで二度目?」

二度あることは三度ある。

ふと浮かんだのは、そんな言葉だった。

「、、、、帰るか」

どうにも落ち着かない。

土産は今度にして、ひとまず帰ろう。

教会の鐘が鳴った。

ふと足を止め空を見上げると、白い鳥が天を横切った。

結婚式でもあったのかな。





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