甘い劇薬


てけてけ、、、、、

氷雨 「何だろう」

瓶を見つけてふたを開けて舐める。

氷雨 「甘い、、、もらっていいかな」


更紗 「ん、、、、」

氷雨 「く〜。すぴすぴ」

更紗 「寝てしまったのだろうか。
     起きて、ソファーでは、これは、、、え?劇薬?」

氷雨 「すぴすぴ」

更紗 「しっかり、誰か」

幻珱 「どうかしましたか。氷雨?」

更紗 「水を。はかせないと」

幻珱 「何があったんですか?氷雨は」

更紗 「これを飲んだのなら、正直」

幻珱 「(瓶を見て)な、、、、すぐに」

バタバタ


氷雨 「う、、、ごほっ、げぼ、ふぇ、、、び〜っ(大泣)」

幻珱 「氷雨、大丈夫か?」

氷雨 「父さま、、、、ふぇ〜ん、、、」

更紗 「苦しかったでしょう。ごめんね」

氷雨 「うぇ、、、、ひっく、、、」

幻珱 「まったく、、、、誰が劇薬なんか」

更紗 「氷雨君、これを飲んだの?」

氷雨 「甘かったの。甘くておいしかった」

更紗 「甘い劇薬、、、、まさか」

幻珱 「、、、いえ。ここの住人がそんなこと」

更紗 「けれど、氷雨君がこれを飲んで
     気を失ったのは事実のようだし」

幻珱 「理由がない」

更紗 「、、、、、、」

幻珱 「、、、、、、」


香玉 「すみません」

幻珱 「香玉」

香玉 「ここに、瓶がありませんでしたか?」

更紗 「、、、、ありましたけど、あなたの?」

香玉 「ええ。そうですけれど」

幻珱 「何つもりですか!氷雨にもしものことがあったら」

香玉 「もしもって、、、、氷雨、飲んだの?」

氷雨 「(こくり)」

更紗 「いくら注意書きがあっても
     見逃すことだってあります。
     それを置きっぱなしで目を離すだなんて
     不注意すぎますよ」

幻珱 「思いたくありませんけど
     甘い劇薬ってどういう物ですか」

香玉 「確かに注意書きはそうですけれど
     中身は劇薬では、いや、氷雨にとっては」

幻珱 「だから、何なんです」

香玉 「作りかけのお酒です」

幻珱 「え、、、、」

更紗 「お酒?」

香玉 「自分で作るのが趣味でしてね。
     これは途中の物で
     甘いけれどアルコールは高いんですよ。
     確かに、氷雨にはきついでしょう。ごめんね」

幻珱 「劇薬ではないんですね」

香玉 「ああ書いておけば誰も手を出さないと思いましたが
     仰る通り、出したままで離れたのは不注意です」

幻珱 「気をつけてくれ。この子になにかあったら」

香玉 「わかります。本当に、すみませんでした」

更紗 「(酒だったのか。相当な酒豪だものな、この人)」

香玉 「どうかしました」

更紗 「いえ、別に。何でも過ぎると毒になりますからね。
     適量が一番ですよ」

香玉 「それは心得ていますよ。
     つぶれたことは、ありませんから」

氷雨 「甘くておいしいもの、ほしい」

香玉 「探してきましょう。お詫びもかねてね。
     少し待っていてください」

氷雨 「あい」






更紗 「ん、、、言った傍から、まったく(追いかける)」

幻珱 「やれやれ」


更紗 「ほら、言った傍から置いていかないでください」

香玉 「と、すみません。
     (取りに行く間くらいなら、、、、言えないか)」

更紗 「それにしても、お酒に強くてなおかつ自分で作るとは
     本当に好きなんですね」

香玉 「、、、、、忘れたくても忘れられない。
     そんな光景が離れない夜は
     お酒が紛らわせてくれますから」

更紗 「、、、、、、」

香玉 「だったら、美味しくて自分の好きなものがいいでしょう。
     毒にもなるけれど、十分薬にもなるんですよ。 
     まあ、それはそれ。私の事情なんか別にいい」

更紗 「香玉、、、」

香玉 「喋りすぎましたか。
     氷雨を待たせていますから、これで(去)」

更紗 「毒にも薬にもなるか。、、、優しい夢を願っていますよ」





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