

出奔
「ガレリア、出られるか」
「うん、大丈夫。早くルディさんの顔が見たい。成功したって聞いても、何だか落ち着かなくて」
ルディが愁馬を連れてソレアに来たときのことを思いだす。
キエヌでルディと愁馬が出会い、その愁馬はかごの鳥になる前のガレリアを知る相手。
ガレリアに会いたいという愁馬の願いを叶えるために、ソレアに来たルディ。
そのルディから手術を受ける話を聞き
キエヌに戻ったルディのその後をアンアトワネットが知らせてきた。
「キエヌに着くなり倒れて手術だなんて、、、、、、
そんなに悪くなってるなんて気がつかなかった」
「自分からそれを言うやつじゃない」
「でも、そのルディさんを助けてくれたのがお医者さまで
そのまま手術が成功だなんて、すごい奇跡だよね。
神様って、、、、いるのかな。やっぱり」
「神か、、、救うつもりがあるなら、もっと早く奇跡を起こせばいいものを。
慈悲深いどころか、悪戯好きの気まぐれな子供と同じだ」
「レイス、、、機嫌悪い?」
アイスブルーの瞳が覗き込む。
「、、、、いや」
「嘘でしょう」
「嘘をつく理由がどこにある」
ガレリアは両手でレイスの頬を挟み、自分の正面に向けさせる。
「ほかのことならともかく、ルディさんのことで
そんな棘のある言い方はしない。 何があったの」
その訊きかたは何かがあったことを確信しているものだった。
レイスは自分の手をガレリアのそれに重ねる。
「笑うなよ」
「もちろん」
「、、、、お前と会う前の、昔の夢をみただけだ。一番見たくない自分を、自分が見てた」
「、、、、夢だよ、レイス」
「わかってる」
ガレリアはそのまま腕をレイスの背に回す。
「でも、その過去がなかったら僕達は出会わなかった」
「ガレリア、、、、」
ガレリアはゆっくりと言葉を紡ぐ。
「こう思おう。どんな過去でも出会うために必要だった。
辛い過去じゃなくても、、、ううん、辛かったぶん
僕はレイスと会ったことを喜べる」
「、、、、、、」
レイスは優しくガレリアを抱き返す。
どんな時でも、光とぬくもりを与えてくれる存在。
「だからって、レイスにもそれで納得してほしいわけじゃないよ。
辛かったことを幸せに置き換えるなんてできない。
でも、今の僕はレイスといる。それだけで、過去は過去だって思える。
ありがとう、レイス」
「お前が私にとっての神だ。どんな闇の底でも、お前は光をくれる」
この光がレイスの全て。己を支える絶対のもの。
「愛してる」
「僕も」
互いを強く抱きしめ腕を解いた。
「どっちから行くの」
「サルバス経由だ。海が荒れても面倒だからな」
「キエヌも久しぶりだね」
「、、、、そうだな」
相変わらず賑やかな町なのだろう。
そして、もしかしたら男娼館が健在だった頃の知った誰かと会うかもしれない。
その思いがキエヌに足を向けるたびに過るが、過去が消えるわけではない。
「行くか」
「うん」
キエヌへ。2人は出奔した。