慟哭

鍵を開け中に入ると、鏡の前でガレリアが倒れていた。

その手には乾いた血がはりつき、床にはガラスが散らばっている。

抱き上げベットに寝かせると手早く傷を塞ぐ。

そして持っていた酒を含むと口移しで飲ませた。

「、、ん、、っ、、」

飲み込むのを確認すると、軽く頬を叩く。

「気がついたか」

「あ、、、、」

「死ぬつもりだったのか?」

フイと横を向く。

「、、この状況を抜け出したいなら私を殺す方法を考えるんだな」

その言葉に振り向き見つめるも、相変わらず表情は動かない。

感情があるのか無いのか、整った顔立ちが動くのを見たことがない。

それでも自分の世話をするレイスが優しく思えるときもある。

どこかですがってもいいのだろうか。

「僕はいつ売りに出されるんですか」

「まだ決めてない」

「あなたじゃ駄目ですか」

「、、、」

「知らない誰かじゃなくて、あなたが僕を買ってください」

ガレリアの髪を細い指が梳く。

サラサラと指の間をこぼれる髪にレイスは口付けた。

ガレリアが近づいた首にしがみつく。

触れる肌のぬくもりだけが人である証。どんな状況であっても。

だが、レイスは腕を外すとくるりと向きをかえ歩き出した。

「どうして抱いてくれないの!」

その背中に叫ぶ。ピタリと足が止まった。

「僕は商品だから?抱くとその値打ちが下がるから?
 わかってます。
 あなたにとって僕は商品の一つで
 それ以外になにもないってこと。
 いつかはここを出て行くことだって。
 でも今の僕はあなたしかいない。知らない。
 ここを出て行くまでの間だけでもいいから
 すがっていいならその腕で眠らせて」

振り返ることはなく、言葉もない。

「お願い、、、。なんでもするから」

その声が届いていないかのようにレイスは部屋をでた。

そして鍵の閉まる音。

「レイス、、レ、、う、、うああっっっっ!」

声の限り泣く。何のための涙なのか、それすらもわからなくなっていた。



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